実釣レポート33(大阪府・泉佐野一文字編)

波止釣り 実釣

<釣行当日のデータ>

釣行日:平成12年1月15日(土)

釣り場:大阪府・泉佐野一文字

天候:くもり

水温:11°C

潮:小潮

風向:北

エサ:シラサエビ

釣果:メバル15センチ1匹・ガシラ10~15センチ3匹

ポイント図:別添図をご使用ください。

仕掛け:別添図をご使用ください。

ミレニアム釣行第2弾。

寒風吹きすさぶシーズンではありますが、今回は泉佐野一文字へとメバル、ガシラを求めて出陣してまいりました。

ここ泉佐野一文字は、古くから釣り人に親しまれている歴史あるスポット。カレイ・アブラメの実績ポイントとしても定評のある釣り場として有名です。

一文字の全長は約650メートルと短く、中央付近は「く」の字に曲がった形状となっています。一文字の沖向きは一段高くなっており(大人の胸の高さほど)、頭上には電線が張ってあるため、長竿を使われる場合や投げ釣りをされる場合は注意が必要です。また、足元にはたくさんの捨て石が入っており、水深は内、外向きとも約2.5ヒロで、4、5メートル沖からは、かけ上がりとなっています。

ここでは、冬場にはカレイ・アブラメ・メバル・ガシラ、春にはチヌ・ハネ・メバル、夏はチヌ・タコ・アコウ、秋にはタチウオ・アジ・サバなどが釣れます。

この一文字では波止際がかなり浸食されているため、根魚は特に濃いポイントと言えるでしょう。

一方、地方の「食品コンビナート」と呼ばれる埋立地の港内は足場もよく、車も護岸に駐車できるとあって、ファミリーにはうってつけの釣り場。また、トイレも数ヶ所ほど設置されているため女性でも安心して釣りを楽しむことができます。春先にはエビまき釣りでハネが、夏場は電気ウキを流してチヌが、秋口にはアジ、サバ、イワシ、サヨリ、タチウオ、カワハギなどが狙えます。

この釣り場へのアクセスは、車の場合ですと阪神高速湾岸線「泉佐野北」出口を降り、最初の信号を右折すれば港に出ます。電車の場合は、南海本線「井原駅」下車。海へ向かって徒歩約10分で港へ到着しまなお、この一文字へは「菊川渡船」(TEL0724-62-8945)をご利用ください。この時期、朝の一番船は午前6時となっていますが、事前に電話確認されることをおすすめします。

当日は、まるは釣具・泉佐野店(TEL0724-64-0841)にて地エビ(シラサエビの大粒版)を2000円分買い込み、午前5時30分に渡船乗り場へ到着しました。驚くことに港内のスペースには数多くの車が止まっており、厳寒期にもかかわらず渡船場の前は長蛇の列となっていました。

午前6時、渡船代1500円を払って出港。といっても一文字はすぐ目の前のため、5分ほどで北端の赤灯付近へと到着しました。よほどの人気ポイントなのか、乗船客のほとんどがここで下船していきます。僕たちは混雑したポイントを避けるため、一文字中央のカーブ付近で降り、内向きの潮のよれた部分から竿を出すことにしました。

今日はガシラ、メバルを狙うため、短竿に小型両軸受けリール、そして胴突き3本針の仕掛けでトライしてみます。活きのいい地エビの尻尾に針をチョン掛けし、波止際の切れ目部分へ仕掛けを落とし込んでいきました。

そしていつものように、スプールをフリーにして魚がヒットすればドラグ音が鳴るようにセット。また、欲張りなようですが同じ釣り方で竿をもう1本準備し、魚が掛かるのを待ち伏せます。

さらに、もう1本の竿では底撒き器を取り付け、マキエを効かせることにしました。今回使った底撒き器は「マジックカゴ」と呼ばれ、1000円足らずで販売されているものです。マジックカゴは磁力によりフタが閉まっていて、竿をあおるとその水圧でフタが開き、マキエが飛び出る仕組みとなっています。

使い方はカゴの下に5号程度のオモリをつけ、活きエビを詰め込みフタをして仕掛けの潮上付近へ一気に沈めていきます。カゴが海底につけば、糸を張って竿を勢いよくあおり、エビを散らせるのです。

このカゴをうまく使うコツとしては、弾力のない硬い竿を準備すること。柔らかい竿では力強くあおってもカゴが開きませんのでご注意を。

ちなみに、僕は並継ぎルアー竿の元竿部分を使うようにしています。これならばしっかりとフタは海中で開いてくれます。

ここで参考までにマキエの方法についてお話しておくと、ウキ釣りでタナが3ヒロ以上となった時は、底撒き器を使った方が有利。シラサエビは、表層で左右へと散りながら海中へ潜っていくため、上撒き(勺で撒くこと)では仕掛けのタナまでダイレクトにマキエを届けることができません。硬めの竿に大型ウキを取り付け、底撒き器のタナを仕掛けのタナにあわせてマキエを効かせれば、効率よくポイントへ散らせることができるのです。

20分ほど経つと、マキエが効いてきたのか待望のアタリ。リールのドラグが「ジジーッ」と鳴り響きました。すかさず短竿を手に取るとしっかりとした手ごたえ。15センチほどのガシラが掛かっていました。

隣からは「ガシラや!」との叫び声。ウキ釣りで波止際を狙っていたM井さんがよく肥えたガシラをゲットしました。M井さんは今日、生まれて初めてガシラを釣ったと大騒ぎです。

続いて、またまたM井さんに何かがヒット。今度は手のひらサイズのメバルを釣ったようです。状況を聞けば、タナは2.5ヒロで、いずれもウキに変化は無かったということ。おそらく仕掛けが海底を這っていたからでしょう。

すぐさま、今度は僕の短竿にもヒット。うなるドラグ音。海面から姿を現したのは、お腹がパンパンに張ったガシラをでした。(ドラグ音が響いたわりには、小型でした)

ファーストヒットからこのガシラまで、わずか20分程度。短時間に2人で、メバル1匹、ガシラ3匹と激釣タイムに突入。また、ガシラは日中でもよく釣れる魚なので、「この調子やと2ケタはいけるでぇー」と、気合が入ります。

しかし、釣りというものは全く非情なもの。午前7時をまわり、あたりが明るくなると、今までの連続ヒットが嘘のようにアタリは途絶えてしまいました。

「アタリはあるか」と聞くM井さん。「全然です」との僕の回答。同行したルアーマンのN村さんも、ジグヘッドにワームを取り付け、丹念に波止際を探り歩いていますがとても厳しい様子。

午前8時前、突然N村さんの携帯がなりました。その会話を横で聞いていると「ええーっ。ほんまか。うん、分かったすぐ行くわ」との返事。どないしたんですかと問い詰めると、「今日、当番のアルバイトが風邪で休みよるから今から仕事に行ってくる。ごめんやけど次の船で帰るわ」との答え。

僕は思わず、「もう帰るんですか。これから、ガシラが爆釣するかもしれへんのに・・・」突如として口から飛び出した、ありえるはずのない事実。「僕は、なんちゅーことを言うんや。これから仕事へ向おうという人に・・・」

でもほんまに気の毒です。まだ2時間も釣ってないというのに。

また、いつもなら、なかなか迎えにこない渡船も、こんな日に限ってはすぐに白波をたてて姿を現しました。ああ、つらーいのぉー(横山たかし風に、赤いハンカチを噛み締めて)午前8時。N村氏無念の帰宅。いや、出勤。

M井さんと僕は「気の毒なN村氏の分までがんばろう」とふたりで誓いあいましたが、その期待も空しく見事に空振り。アタリ皆無のまま、午前10時を迎えることとなりました。やがて、「俺らも、もう帰ろか」と、弱り果てたM井さんの声が聞こえてきました。

午前10時、いさぎよく納竿。

帰りの車中、僕の携帯にはN村さんからの呼び出し音が。「どうやった?」。

「なんで、帰りはったんですか。あの後、メチャクチャ釣れました!」昔から釣り人は見栄張りで嘘つきだと言われています。でも、そんなセコイ嘘だけは、つけないでしょう・・・。

最後にこの渡船を利用して気付いたことがひとつありました。乗船客全員が渡船に備え付けのライフジャケットを着用しています。また、波止へ上がって釣っている最中でもきちんと着用してくれているのです。

当たり前のことなのですが、これが徹底されている沖波止への渡船店というのはなかなか見当たりません。実際、僕がいろんな渡船店での状況を見た限りでは、船頭が注意するにもかかわらず「わかった、わかった」と言うだけで着用しない人がほとんど。菊川渡船の船頭さんの徹底した指導ぶりと、そのことを遵守してくれている良識あるお客さん。

安全第一主義者の私としてはうれしい限り。菊川渡船のみなさんには感動しました。

特に初心者やファミリーの皆さん、いくら足場のいい波止といえども過信は禁物、安全対策は万全にお願いいたします。

事故が起こってからでは取り返しがつきませんので・・・。

~関西波止釣り情報(大阪府・泉佐野一文字の現況)~

現在、泉佐野一文字では、メバル・ガシラ・カレイなどが釣れています。

メバル・ガシラは波止際を狙った探り釣りやズボ釣りでシラサエビをエサに15センチ前後のものがボツボツと上がっています。ひとつのポイントで粘らずに一文字全体を探り歩くことが釣果をのばすコツとなりままた、型のいいものは、朝、夕の薄暗い時間帯に集中して釣れることが多いようです。

カレイはマムシや青イソメを使った投げ釣りで、手のひらクラスから30センチクラスのものが釣れています。しかし、日によってムラがあり、数もあまり出ていない様子。

エビまき釣りで狙うハネの朗報は依然として入ってきていません。どうも今シーズンは不調のようです。

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