さて、対象魚別実戦編の第3弾。
いよいよ今回は波止から釣れる大物にチャレンジしてみましょう。
ターゲットの紹介
今回の標的となる獲物は、都心の港湾周辺でも比較的容易に釣れる魚「ハネ」です。
関東では「フッコ」とも呼ばれています。
ハネは「シーバス」という呼び名で、ここ近年ルアーマンからも大人気。その手ごたえはダイナミックな釣り味をかもし出してくれます。
成長するにしたがい呼び名が変わる「出世魚」。40センチまでのものを「セイゴ」、40~60センチまでを「ハネ(関東ではフッコ)」、それ以上のものを「スズキ」と呼んでいます。
また、「フイッシュイーター(魚食魚)」としてもよく知られており、その食性はきわめてどう猛。アジ、イワシ、コノシロ、ハゼなど内湾にすむ小魚を中心に、エビなどの甲殻類やゴカイなどの環虫類も捕食しています。初夏の頃には小アユを追って川を遡上(そじょう)してくるほど釣期は主に3月~5月(水温が上昇する春先)と11月~12月(水温が急激に低下する晩秋)がベストシーズン。特に晩秋は「落ちバネ」と呼ばれる大型を仕留める絶好のチャンスです。
ハネはエラの部分がカミソリのように鋭いため釣れてもうっかりと触らないように注意。また、背ビレや尻ビレもとがっているので気をつけること。その味はくせもなく上品な白身が特徴で、旬の夏場には洗いがお勧めです。寒い時期にはそぎ身をしゃぶしゃぶで食すればこれまた最高。それ以外にはホイル焼、塩焼き、フライなども美味ですよ。
堤防からハネを狙うには、ルアー釣りや電気ウキ釣りなどがあげられますが、関西ではシラサエビを撒きながら釣る「エビまき釣り」が最も盛んで人気の高い釣法です。
関西圏以外ではあまり馴染みのない釣り方ですが、今回はこのエビまき釣りを皆さんに紹介してみたいと思います。
まだ、大物を釣ったことがないと言われるビギナーの皆さん、是非、海のファイター「ハネ」をヒットさせ、その腕をしびれさせてください。
エビまき釣りとは?
早朝の時合いを中心にパラパラと活きたエビ(関西ではシラサエビと呼ぶ)を撒きながら魚を寄せて釣る方法。エビを撒く動作を除けば、単なるウキ釣りとほとんど変わりはありません。エビまき釣りは、言わずと知れた「浪速の伝統釣法」。どっしりと腰を据えて釣り人自らがポイントを作る釣り方で、転々と探り歩く「落とし込み釣り」や「探り釣り」とは全く対称的と言えます。一旦釣り座を決めたら竿をたたむまではひとつのポイントで粘ることが肝心。マキエが効きはじめ、魚が寄ってくるまではガマンの釣りということになります。
この釣りでは、チヌ、メバル、ウミタナゴ、ガシラ、アブラメなど、さまざまな外道が釣れてくることも楽しみのひとつです。
持参するタックル(道具)の確認
4.5~5.4メートルの磯竿
竿の長さについては、4.5メートルを基準として選ぶとよいでしょう。また、海面まで高さがあるポイントやテトラポット周りから竿を出す場合には長めの5.4メートルが使いやすいと思います。ハネの引きは強烈ですが、竿の太さはいずれも2号程度のもので対応できます。初心者の方には5000円程度のもので充分です。ちなみに竿の号数については数字が増えていくほど太くなっていき、大物にも耐えられるようになっています。また、インターラインロッドは穂先への糸絡みが少ないのでお勧めと言えますが少し高価なのが難点です。
小型スピニングリール
3~4号糸が100メートル前後巻けるもの。5000円程度のもので充分です。
~仕掛け・小物類~
小さなアタリも逃さず拾ってくれる感度の良いものを使用すること。その点では、クジャクの羽根を素材にした「羽根ウキ」がベストと言えます。また、暗い時間帯から竿を出す場合もありますので、ウキのトップにケミホタルがセットできるものや羽根ウキタイプの電気ウキなどを準備しておく必要があります。
スナップサルカン
遊動ウキ仕掛けを作るための連結金具。棒ウキの足(管)部分に取り付けます。
針
エサのシラサエビが弱らないよう、軸の細いものを使用します。活きエビ専用の7~9号、アブミ針の8~10号など。1.5~2号と細めのハリスを数種類持参します。ハリスは細いほどエビの動きが良くなります。
クッションゴム付きオモリ
オモリについては、0.5~1号を使用。オモリにクッションゴムが付いていれば、ハリス切れによるバラシの確率も低くなります。
ヨウジ及びゴムカン
ハリスのサルカン部分からウキの長さ分あけた位置にヨウジとゴムカンを固定すれば、棒ウキとハリスは絡みにくくなります。「からまん棒」という名前で売られているものは、ゴムカンとプラスチックのヨウジがセットになっているので便利。
ウキ止め糸
遊動ウキを指定したタナで止めるために使います。ゴムなどを素材にしたものもありますが、摩擦力の強いものがお勧め。道糸の磨耗などにより摩擦力が弱ってくるとタナがズレてきますのでご注意を。釣行ごとに取り替えるのが万全。
シモリ玉・シモリウキ
遊動ウキをウキ止め糸部分に停止させるために使います。穴の小さい小々~小サイズがよいでしょう。
マキエシャク
エビまき釣りには欠かせない小道具。勺部分は水きり穴があいているものを購入すること。ポイントが遠い場合でも、柄の弾力を効かせるとマキエは遠くまで飛ばせます。マキエシャクを使う場合は主に水深が2ヒロまでのポイント。それ以上の水深がある場合は、「底撒き器」を使ってマキエを効かせるようにします。
玉アミ
海面まで高さのある堤防などから竿を出す場合を考え、5メートル前後のものを持参。60センチオーバーのスズキクラスが釣れることも珍しくありませんので、ハネ釣りにタモは必携です。
エビ活かしクーラー
夏場はエビが弱らないように少量の氷を入れ、水温の上昇を防ぎます。また、エアーポンプの電池は釣行前に必ず確認しておくこと。予備の電池も忘れずに。
シラサエビ
エビまき釣りではマキエサ及びサシエサともシラサエビを使います。3時間程度の釣りであれば3000円(約6杯)ほど、4~5時間程度の釣りであれば5000円(約10杯)程度のシラサエビが必要となります。お手軽が売りの波止釣りですが、エサ代が高くつくのがエビまき釣りの欠点と言えます。ちなみに大阪のエサ屋で販売されている1杯あたりの単価は約500円。(酒枡または小カップ1杯程度の量。数にすると130匹ほど。1匹あたりの単価は約4円。)関東方面では、「モエビ」という名称で販売されています。(関東では、1000円で35~40匹しか入っていないと聞いています。1匹あたりの単価はなんと25~29円で関西の約7倍?)
・クーラー
・ストリンガー
・タオル
・ハサミ
・プライヤー
・ファーストエイドキット(バンドエイド・消毒液等)なども必要です。
また、暗い時間帯から釣る場合はヘッドライトや懐中電灯なども持参するようにしましょう。
次回は、仕掛けの準備などを紹介していく予定です。