今回の波止釣り講座は、資源問題について触れてみたいと思います。
前回から漁業関係の分野にまで及んでいるように思われるかもしれませんが、資源問題は漁業者だけではなく、私たち釣り人にとっても大切なことなのです。
魚がいなくなると、当然「釣り」は成り立ちませんね。
いつまでも、魚が釣れる環境を残していくためにも、資源保護に努めていきましょう。
~水産資源保護について~
漁業者同様、釣り人も水産(魚)資源を大切にする必要があります。
初心者のうちは誰しも「記念になるから」といって、小さな魚を持ち帰ってしまうことがよくあります。
しかし、地方によっては、漁業調整規則などで採捕が禁止されている幼魚もあるのです。
例えば、大阪府の場合、漁業者はマコガレイは15センチ以下のもの、メイタガレイは13センチ以下のもの、ヒラメは24センチ以下のもの、マダイは13センチ以下のもの、ガザミ(ワタリガニの1種)は12センチ以下のものはそれぞれ採ってはいけないことになっています。これらのサイズは、水産資源を増やすため、漁業者が設定した基準ですが、魚を捕って遊ぶ私たち釣り人にとっても守るべき基準としなければなりませまた、水産資源を増やすために稚魚放流を行っている場合もありましかし、放流した魚も成長しないうちに採捕し、持ち帰ってしまったのでは、放流の意味もなく、資源は増えません。漁業者はこの点を充分理解し、成長していない魚は自主的に海へかえすようにしていま水産資源は、漁業者と釣り人の協力によって保護されるものです。
数少ない資源を大切にするためにも、稚魚が釣れた時は必ずリリースするようにしましょう。
~外道の虐待や乱獲について~
前々回にもお話いたしましたが、釣り人として一番やってはいけないことは、外道(釣る目的でない魚)が釣れた時にその魚を波止の上に叩きつけたり、放置したりすることです。(日干しになっている魚をよく見かけます。かわいそうです。)外道とはいえ、命ある生き物です。釣れてしまった場合でも、必ずリリースしてあげましょう。
また、夏から秋にかけては、アジ、サバ、イワシといった小魚がサビキ釣りでたくさん釣れるようになります。
サビキ釣り仕掛けは針が6~8本も付いているため、1回の釣行で数十匹、数百匹と、簡単に釣れる場合があります。
しかし、持ち帰った魚を親戚、隣近所などに配ったところで余り、捨ててしまうようなことだけは避けるべきです。
釣り人はいくらたくさん釣れるからといっても、漁師になってはいけま限りある資源の大切さを認識し、釣れる環境をいつまでも維持していくことが大切なのです。
釣り上げても、持ち帰って食べきれない魚は、生きているうちに海へ返してあげて下さい。(必要最低限、食べる分だけ持ち帰るということです。)
ご協力をお願いいたします。
~栽培漁業について~
卵からふ化させた稚魚を育て海へ放流し、大型の魚を獲ってもらうことを栽培漁業と呼んでいます。私たち釣り人も、つくり→育て→獲るといったプロセスを理解することが大切です。
栽培漁業についての詳細は、こちらをご覧ください。
~稚魚放流事業について~
昔から、「チヌの海」と呼ばれている大阪湾ですが、数年前まではその数が著しく減少傾向にあるということでした。
そのため、大阪府釣り団体協議会では、毎年、「フイッシングショー大阪」のブースにおきまして、来場された皆様方より稚魚放流基金へのご協力をお願いしております。
ご協力いただきました方々に対しましては、この場を借りてお礼申し皆様からお預かりした貴重な放流基金でもって、「チヌ」と「サンバソウ(イシダイ)」の稚魚を購入し、毎年8月頃、大阪湾へと放流しておりそのおかげをもちまして、湾岸のいたるところでは大型チヌ(40-50センチクラス)がバンバン釣れるようになってきました。
稚魚放流の効果は絶大だと信じている今日この頃です。