第23回目からの波止釣り講座は、波止釣りにおけるルールやマナーについてのお話をしていきたいと思います。
遊びや趣味の分野においても、ルールというものは存在します。釣りを楽しむ場合でも、人に迷惑をかけないといったことは言うまでもありません。皆さんが波止釣りに行かれた時、釣り場ではどのような状況になっていますか?
おそらくそこには、タバコの吸い殻、仕掛けの袋、弁当のフタ、ペットボトルなどが散乱していることだと思います。これらのゴミは、なにをかくそう私たち「釣り人」が捨てたものなのです。特に、都心のポイントでは釣り人が集中し、そのゴミの多さには驚かされるものがあります。
お気の毒な話ですが、そのゴミは地元の自治会や漁業組合の方たちが清掃してくれたという話も聞いたことがあります。快適に釣りができる環境が整っていてこそ、初めて僕らは「釣り」というものを楽しむことができるのです。
~ルール・マナーのいろいろ~
1 釣り場を汚さない
快適な釣りを楽しむためには、ひとりひとりの釣り人による心がけが大切です。釣り糸や釣り針のポイ捨ては、野鳥の命を奪うことになり、釣り人の食べ物や釣りエサの放置ゴミは悪臭が漂い、周囲の住民に大変迷惑をかけることになります。だからといって、海中へ投棄することなどはもってのほかです。ゴミは必ず持ち帰るようにし、波止にゴミ箱がある場合はそこに捨てて帰るようにして下さい。また、冬の波止がいくら寒いからといっても、たき火などは絶対にしないで下さい。煙は周囲の釣り人への迷惑となりますし、ゴミに燃え移ったりすると大変危険です。漁協のおやっさんから怒鳴られた例もありますので…。
2 釣り場を独占しない
竿を何本も並べてポイントを独占しないこと。譲り合いの精神を大切にして気持ちよく釣りを楽しんで下さい。また、サビキ釣りやタチウオ釣りのシーズン(秋)になると波止では、大変な混雑が予想されます。スペースがなく、どうしても割り込む必要がある場合は、「すいませんが、ここで釣らせてもらってもよろしいですか」と、一声かけて釣り人の間に入れてもらうようにして下さい。その他、隣の人の竿に魚が掛かったら、玉網で取り込みを手伝ってあげるなど、お互いに助け合って釣りを楽しむことが大切です。
3 釣り場では騒がない
大声を出したり、ガンガンラジオを鳴らしたり、バタバタした足音などは堤防を伝って水中へと響くため、魚を散らせる原因にもなります。また、夜釣りではライトで海面を照らさないこともマナーのひとつです。
4 注意事項は厳守
漁港や波止に「禁止事項」・「注意事項」が書かれた看板やポスターがある場合には、必ず目を通しておきましょう。ルールは必ず守り、くれぐれも漁業者や港湾関係者には迷惑をかけないようにして下さい。釣り人の行動ひとつで、明日の釣り場が消えてしまうケース(立ち入り禁止)もあるということを忘れてはいけません。
5 持ち帰らない魚は放流する
釣れた魚をむやみに持ち帰ることを「乱獲」といいます。限りある水産資源を大切にするためにも、食べる分だけ持ちかえるようにしましょう。持ち帰らない魚は、キャッチアンドリリース(釣れたらすぐに海へ帰してやる)を心がけて下さい。また、稚魚を釣った時は、昔のCMにもあったように「大きくなって帰ってこいよ」と願いつつ、放流(リリース)するようにして下さい。地方によっては、漁業調整規則等で特定魚種に限り体長制限を設け、採捕が禁止されている場合もあります。波止の上にたたきつけられている小魚などをよく目にしますが、これは釣り人として最低の行動です。無駄な殺生は絶対にやめて下さい。
6 漁業者に迷惑をかけない
漁師さんの漁具、漁網には手を触れないようにして下さい。私たち釣り人は遊びで魚を捕っていますが、漁業者にとっては生活のかかった大切な仕事です。漁師さんに迷惑をかけないことが最優先です。また、漁船等の航路への投げ釣りは、航行の妨害(スクリューに仕掛けが絡まる)になるため禁止です。
7 キャスティング時は周囲の人に注意する
投げ釣りやウキ釣り、探り釣りなどで仕掛けを振り込む際は、周囲に人がいないか充分確認のうえキャストすること。特に、最近流行の「ソルトウォーターフイッシング」では、ルアーの針が大型のため、顔などに引っ掛けてしまったら大変なことになります。くれぐれもご注意下さい。
8 オマツリ時は自分の仕掛けを切る
混雑した釣り場では、オマツリ(隣の釣り人と仕掛けが絡まること)が起こる可能性があります。相手が悪いと分かっている場合でも、自分の釣り糸を切るようにして下さい。くどいようですが、ここでも譲り合いの精神が大切です。
9 迷惑駐車をしない
海釣り公園以外では、ほとんどが路上駐車となってしまいます。地元住民方の迷惑にならないような駐車スペースを見つけるようにして下さい。また、釣りは早朝に行くケースが多いので、アイドリングによる騒音などでも迷惑にならないよう慎重に行動して下さい。