第21回目の波止釣り講座は、釣りとは切っても切れない関係にある「気象」についてのお話しをしていきましょう。
「釣りは、自然との戦いです。」
どこかで聞いたことのあるような言葉ですが、自然気象をあまくみると、くどいようですが、命にかかわる危険な目にあいます。最近では、気象衛星などの発達により、科学的に正確な天気を予測できますが、特に今回は、釣り場での気象予知及び感電事故等について触れてみたいと思います。
気象も釣りの技術同様、経験とカンがものを言います。地域差もありますので、釣行する釣り場に詳しいベテラン釣り師の言うことによく耳を傾けるようにしましょう。
事故を未然に防止するためにも、自然気象に対する知識は充分に習得してもらう必要があります。
~天気急変の前兆についてから~
天気が急変する場合は、以下のようになんらかの前兆が現れます。
・ピカピカと雷光を伴った雲が水平線上に見えると、数時間後に突風が吹きます。
・朝に虹が出ると、まもなく突風が吹きます。
・夕立やにわか雨が断続的に降った後は、突風が吹くことがあります。
・魚群が沖へ離れ、根魚が散ると1-2日後には台風が接近します。
・水平線に動く暗雲が出ると、数時間後に天気が崩れます。
・朝やけは、まもなく天気が崩れます。
・夜になって風が強くなるのは、低気圧が近づいている兆しです。
・日ガサや月ガサが現れる時は、天気が崩れる傾向にあります。
・煙霧が濃くなると、天気が崩れる傾向にあります。
・朝霧が日の出とともに消える時は天気がよくなりますが、そうでない時は悪くなります。
・朝から昼にかけて風が強まり、夜にかけて弱くなるときは、天気が良くなります。
・夕やけが見えたら、明日も天気になります。
・西の空が晴れだしたら、天気は回復します。
~落雷事故について~
つぎに、落雷や電線への接触による感電事故についてのお話をしていきましょう。
最近の釣り竿はほとんどが、カーボン(炭素)という電気をよく通す素材で作られています。(写真のように竿には、感電注意ステッカーが貼ってあります)
落雷事故は、1-10億ボルトの電圧が体内を通過するため、即死という可能性も高いことになります。
落雷事故を防ぐには、雷が近づいていると分かれば、すぐに竿をたたんで建物や車の中に避難することです。(竿を立てて持っていると、自殺行為になります。)しかし、サンルーフ付きの車はガラス部分を突き抜けて落雷する危険性があります。なお、身につけている金属類や携帯電話などを外しただけでは、落ちる可能性があるため、安全とは言えません。
事前に雷が近づいていることを知るためには、AMラジオを携帯するとよいでしょう。50キロ程度離れている雷でも「ガリガリ」という雑音が入りますので、その雑音でもって避難態勢を整えて下さい。
また、電線などによる感電事故にも注意が必要です。波止の頭上には電線が通っている場合がありますので、長い竿を使用する場合は電線に近づけないよう、充分注意して下さい。
落雷、感電事故では、左半身を貫通した場合、心障害により死亡するといったケースが多いようです。万が一、感電事故が起こった場合は、貫通部分に傷があれば、まずその手当てをし、呼吸、心停止の場合は心肺蘇生法を試み、直ちに救急車を手配します。
ちなみに、私の経験上、はるか遠くに暗雲が見えている場合でも、手に「バチッ」という感触とともに、目の前に閃光が走ったことがあります。(放電といいます)
その一瞬は、「やられた!」と心臓が止まる思いでした。
釣りを楽しむ際は、雷を始め、気象の急変には充分注意して下さい。