第15回目の波止釣り講座は、前回に引き続き、波止で釣れる代表的な魚たちを紹介していきたいと思います。
カマスは、アジ、キビナゴ、イワシなどの小魚を常食とするフイッシュイーター(魚食魚)です。小型でスマートな容姿に似合わず、とてもどう猛な魚で、比較的大きな群れで回遊しています。
波止や船から釣れるカマスは、アカカマスとヤマトカマスの2種類で、サイズは20~25㌢クラスのものです。ちなみに、南方海域に生息するオニカマスは、「バラクーダ」と呼ばれていて、体長は1㍍以上にもなります。もちろん、波止では釣れません。
方 言:アカカマス…ホンカマス・アカカマサ・アカハダカマス
ヤマトカマス…ミズカマス・アオカマス・イソカマス
釣れる時期:6月~9月
波止でのポイント:比較的水深のある港の岸壁・テトラポット付近など
エ サ:キビナゴ(ウキ釣り)
仕掛け:ウキ釣り・ルアー釣り
難易度:比較的釣りやすい(群れに当たれば…)
カワハギは、口の後ろから包丁を入れ、切り口の皮をつまんで引っ張ると、簡単に皮がはがれます。このことが名前の由来になったといわれています。また、波止ではカワハギの仲間である「ウマズラハギ(顔が長い)」もよく釣れます。
この魚は、海中でヘリコプターのように上下移動しながら、エサをツツキにきます。また、かなりのおちょぼ口で、「エサ取り名人」といわれているため、イカリ針(ギャング釣り)で引っ掛けた方が確実に釣れるでしょう。波止で釣れるサイズは、15~20㌢クラスです。
カワハギのキモ(肝臓)は、特に美味なことでも有名です。
方 言:カワムキ・ハギ・ハゲ・マルハゲ・ギッパ・スブタ・コオグリ
釣れる時期:7月~11月
波止でのポイント:波止際や岩礁帯付近
エ サ:石ゴカイ(ジャリメ)・青イソメ・オキアミなど
仕掛け:探り釣り(胴つき釣り)、ギャング釣り(ハゲ掛け、ギャング針使用)
難易度:釣りにくい(針に掛かりにくい、といったほうがよいかもしれません。)
クロダイは、磯釣り師の間でも人気の高い魚です。
警戒心が非常強く、悪食家で、時には人家から出る残飯やスイカ、ミカンまで食べることもあるそうです。
不思議なことに幼魚時代はすべてがオスで、25㌢くらいに成長するとメスへ性転換することもあります。(そのままオスでいるクロダイもいます)
クロダイ釣りは、地域により「独特でかつ、こだわりの釣り方」が数多くあり、その奥の深さが多くのファンをとりこにしています。
波止で釣れる平均サイズは、30~40㌢。まれに、50㌢を超える大型も釣れます。(最近は、60㌢オーバーの超大物も現実に釣れています。)
比較的波気があり、潮が濁っている時が好条件といえます。
ちなみにクロダイに似た、「キビレ」と呼ばれる魚は、汽水域に多く生息し、腹ビレ、尻ビレ、尾ビレが黄色く染まっているのが特徴です。
方 言:チヌ・チン・クロチヌ・マナジ・カワダイ
釣れる時期:4月~10月(大阪湾では厳寒期を除き、ほぼ年中釣れます)
波止でのポイント:波止際・テトラポット付近
エ サ:オキアミ・エビ、カニ類・貝類・環虫類など、非常に雑食
仕掛け:落とし込み釣り・ウキ釣り・コスリ釣り・ブッコミ釣り
難易度:比較的釣りにくい(情報収集と研究を惜しまないこと。)
コノシロ
幼魚である「コハダ」は、寿司ネタとして人気があるようですが、10㌢を超え「コノシロ」と呼ばれるようになると、食味が劣るため、持ち帰って食べる人は少ないようです。
コノシロは群れで行動し、港の奥や汽水域(海水と真水の混じった区域)にも回遊してきます。コノシロに似た、「サッパ」という魚もいます。
方 言:コハダ(コノシロの幼魚)・ツナシ・ベットウ・モゴ・ヨナ
釣れる時期:3月~7月
波止でのポイント:比較的水深のある港の岸壁など
エ サ:アミエビ
仕掛け:サビキ釣り
難易度:釣りやすい
サバ
サバは、イワシ同様に比較的浅いタナ(上層)を回遊しています。
堤防からのサビキ釣りでも簡単に釣れ、数匹同時に掛かれば強烈な引きが味わえるので、子供たちも大喜びです。
しかし、掛かると左右に暴れまくるため、隣の釣り人とのオマツリには充分注意して下さい。
また、「サバの生き腐れ」ということわざもあるくらい、鮮度が落ちやすく、非常に腐りやすい魚です。釣ったサバは、エラと胸ビレの間にナイフを入れ、海水の入ったバケツに5分ほどつけておきます。(血抜きをします)その後、海水と氷の入った別のクーラーに移し替えておけば、家に帰るまで鮮度は維持できます。
また、脂ののりきった秋サバは最高です。「秋サバは嫁に食わすな」という格言もあるくらいです。
方 言:ヒラサバ・ホンサバ
釣れる時期:6月~11月
波止でのポイント:比較的水深のある港の岸壁など
エ サ:アミエビ
仕掛け:サビキ釣り
難易度:非常に釣りやすい(ファミリーフイッシング向き)
サヨリは、スマートで透き通った体をしていて、そのスタイルから「お嬢様」と呼ばれることもあるそうです。また、下アゴが長く突き出し、その先端が口紅を塗ったように赤く染まっているのが特徴です。
この魚は、水面下30㌢ほどの非常に浅いタナ(泳層)を泳いでいます。海が穏やかで、潮が澄んでいる日はよく釣れますが、荒れている日は条件的に苦しいでしょう。繊細な仕掛けで狙うようにし、アタリがあっても大きくアワセる必要はありません。最近では、サヨリ専用の仕掛けも販売されています。
刺し身や干物にして食べたら、うまいと思います。
方 言:クチナガ・ショウブ・スズ・ハリウオ・ヤマキリ
釣れる時期:9月~翌年3月
波止でのポイント:波の静かな小磯周りや港内の岸壁など
エ サ:アミエビ・オキアミ・ハンペン
仕掛け:ウキ釣り
難易度:比較的釣りやすい
(注)各魚とも釣れる時期は地域により異なります。