(番外編)東大阪市親子釣り教室レポート1

波止釣り 実釣

去る5月21日(日)、私の住んでいる隣町(大阪府東大阪市)では「親子ふれあい釣り入門教室」が開催され、私が講師として参加することになりました。

この釣り教室については昨年の9月頃、一本のメールが届いたことがきっかけとなりました。波止釣りCLUBをご覧いただいている東大阪市立社会教育センター長からの「釣り入門講座の講師ご依頼」という内容でした。同センターは東大阪市民を対象にさまざまな教養講座等を開催しており、平成12年度においては釣りに関する基礎知識から釣り場での実習を予定しているというものです。

正直なところ私自身、最初は目を疑いました。この素人あがりの私なんぞに、ましてや公共機関からの講師要請とは・・・。友人や身内にこのことを話すと声を揃えて「そらぁ、何かの間違いやで!」、「メールの宛先を間違えはってんな!」などなど。

波止釣りCLUBでは、ネット上という立場のもと、皆さんの顔を拝まずしての解説に何とか成功している私ではありますが、果たして教壇に立ってうまく説明することができるのだろうか?しかし、何事も勉強、地域の役に立たせていただけるのであればこれほどありがたいことはないということで、及ばずながらお受けすることにいたしました。そして、了解する旨の返事を送ったその翌日に同センターより自宅へと電話をいただき、間違いではなかったのだと確信しました。

大阪府では、釣りインストラクターの資格者が結集する「大阪府釣りインストラクター連絡機構」という組織があり、そこから府下の自治体に対し「釣りインストラクターという資格者が存在するので、生涯教育の一貫として釣り教室を開講されてはいかがですか?」との呼びかけのもとで釣り教室(主に小中学生が対象)が開催されています。ちなみに大阪府では、大東市、泉佐野市、枚方市、柏原市、交野市、大阪市西区、そして今回の東大阪市と7地区で開催され、地域のインストラクターが協力しています。(平成12年現在)

しかし、今回はその組織を通じることなく「波止釣りCLUB」をご覧いただいた東大阪市からの直接の講師要請。まさにインターネットの力は絶大なものだと実感いたしました。つりnet関係各位に対しては心より感謝いたしております。

この釣り教室は「親子ふれあい釣り入門教室」という名称のもと、インストラクター6名にもご協力いただくことになりました。そして、昨年の10月からは幾度となく教育センターへと通い、カリキュラムや釣り場における実習の流れなどに関し綿密なるミーティングを行いました。

話し合いの結果、釣り入門教室は前期を淡水編とし、5月21日(講義)・5月28日(講義)・6月4日(講義)・6月10日(釣り場での実習)・6月24~25日(合宿)の全6回のスケジュールにより開講することになりました。なお、10月からは後期として海水編の開講も予定しています。こちらは、波止釣りを中心とした内容のため、私にとっても専門ジャンル。本領発揮といきたいところです。

前期の釣り教室は20組の親子を定員に参加希望者は往復ハガキでの申し込みとし、4月1日からは地元の回覧版で、同月15日からは市政だよりを通じ募集することになりました。

ここだけの話、私個人としては昨今からの釣りブームの影響で「即日、満員御礼」という自信を持っていたことは事実です。そのような期待の中、4月3日時点で申込状況を問い合わせたところ、「5、6組程度の申込者しかありません」との返事。予想を反する回答を受け、ショックは隠し切れません。さらに「定員に満たない場合は、市内の釣具店に募集のポスターを貼りに行く事も検討しています」との考えも示され、全身が脱力感に包まれてきました。とはいえ、締め切りまでには、まだ2週間以上もあります。「たくさん集まってくれますように」との祈りの中、いよいよ4月20日の締切日を迎えることとなりました。この時点での集計は25組。何とか定員には到達。ホッと一安心です。センターでは、4月20日の消印分まで申し込みを受け付けることとしているため、もう少しは増えるでしょうとのこと。そして、4月末に連絡を受けた最終申込者数は、なんと41組。定員の倍を超える申し込み、感謝感激です。

募集開始当初は20組定員ということでありましたが、センター担当者との話し合いの結果、教室の座席をめいっぱいとした30組70名の生徒さんをお受けすることになりました。

このように段取りを踏まえ、苦労を重ねつつも、いよいよ開講当日の朝を迎えることとなりました。

当日は、午前9時に釣り教室の会場となる社会教育センターへと到着。早くも5、6組の親子が手をつなぎながら教室へと入っていく姿が見受けられます。

1階のロビーでは私をはじめとする講師陣が集まり、事前の最終打ち合わせ。その側でも続々と釣り教室の生徒さん方が訪れてきます。

午前9時30分、いよいよ釣り教室の開講です。僕ら講師陣6名は教壇サイドへと案内され、主催者より紹介を受けることになりました。

生徒さん方の顔ぶれを見ればお父さんやお母さんをはじめ、たくさんの小さな子供さんが座っています。それを見た瞬間、「うっ、これは非常に厳しい」難しい話などできません。受付では(株)ヤマシタからご提供いただいたバンダナとハゼ釣り仕掛けを配布。その中でも特に「サビキちゃんバンダナ」はちびっこにも大人気。早速、ビニール袋を破って中身を取り出し、頭に巻いている子供もいるほどでした。

主催者側の開講あいさつが終わると、いよいよ講義へと突入。一発目の講義は「池・川釣りの道具と釣り用語について」果たして、ちびっこ達に45分間の講義は耐えられるか・・・。

担当講師からは、子供の興味を引くようにと渓流竿やルアー竿、はたまた小物類などを取り出しての熱弁。30分を過ぎた頃から、席を立ったり、おしゃべりをしたりと子供たちにはもはや限界といったところでしょうか。

その一方で、お父さんやお母さん方は真剣な眼差しで講義に集中しています。さすがに大人は違いますね。予定時間を約10分超過した午前10時30分に第1時限目は終了。次に、第2時限目の「仕掛けの作り方・釣り糸の結び方」へと進みます。

この科目は実技のため、子供たちもさぞ楽しんでくれることでしょう。

とはいえ、釣り針を使用するため、はしゃいでケガでもしないかと少々心配なのが本音。

まずは、釣り糸の結び方の中でも比較的簡単な「チチワの作り方」からスタート。仕掛け作りの担当講師が模型とロープを使ってていねいに説明していきます。

「チチワ」は1本の糸を半分に折り、それを輪にして8の字にクロスさせ、結び目を作るというもの。でもこれがなかなか難しいようでお父さん、お母さん方も悪戦苦闘しています。6名のインストラクターが生徒さんの周りを巡回しつつ、指の動きなどを確認していきます。ご承知のとおり釣りで使用する糸はナイロン素材が主流。結び目の部分などはしっかりと指でつまんでおかないとすぐに「パラッ」と糸がほどけてしまいます。今日は、初めて釣り糸に触れる人たちもたくさんいるよう。この感覚になれるまではもう少し時間もかかりそうですね。

次は糸と針との結び方。これは初心者にはキツイ。と思ったのも束の間、以外にもお母さん方がとても上手なんです。編物なんかをやっている影響なのでしょうか。

時計を見ると11時50分。予定より45分ものオーバーです。次年度より、本実技の時間はもう少し長くとることにいたしましょう。

そして、本日最後の講義は、「池・川釣りの仕掛けについて」。ここでも、短竿に仕掛けをつないだサンプルで子供の気をひくことに。しかし、本教室は正午までとなっているため、「12時10分には、まとめて下さい」との主催者側からの声。担当講師には、無理をお願いして解説を簡略化していただくことに。

実技を混じえてからというもの、講義ではありますが子供さん方もだんだんと中身に溶け込んできた様子。そして、あるお母さんなんかは前のめりの尻浮かし姿勢でもって「ウン、ウン。ホー、なるほどなぁー」という感じで講師の熱弁を聞き入っています。ようやく、講師もエンジン全開、調子に乗ってきたところではありますが、本日の講義は時間切れにより終了。

とまあ、ドタバタと慌しい内容でしたが、第1回目の釣り教室はこれといったトラブルもなく無事終わりを迎えることができました。優秀なる生徒さんのおかげだと感謝しております。

次回は5月28日の日曜日。淡水魚の紹介などの講義を中心に、センター隣のプールではキャスティングの練習なども行う予定です。

次回はいよいよこの私が教壇へ立つことに・・・。生徒さんの中にこのレポートをご覧の方がいらっしゃるのなら、難しい質問などはあまりなさらないように。と言いたいところですが、遠慮なく何でも聞いてくださいね。

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