<釣行当日のデータ>
釣行日:平成12年4月9日(日)
釣り場:和歌山県・由良港
天候:晴れ
水温:15°C
潮:中潮
風向:北東
エサ:活きアジ
釣果:おしかったなぁ
ポイント図:別添図をご使用ください。
仕掛け:別添図をご使用ください。
4月も中盤に入り、関西圏でもあらゆるポイントからアオリイカの朗報が届くようになってきました。
ボーズを覚悟で今期初のアオリイカ釣りにチャレンジ。和歌山県の由良港へと行ってまいりました。
この釣り場へのアクセスは車が便利。大阪方面からですと阪和道~海南・湯浅道路を経て「広川」出口を降ります。そのまま国道42号線を南下するとやがて由良町へと入っていきます。そして、「白鷺海岸・衣奈方面」と書かれた標識のある「里」交差点を右折し、道なりに進み「由良海釣り公園」と書かれた看板を左折します。由良湾沿いを走るとやがて左前方に「鎮魂碑」が見えてきます。このあたりに車を止めるわけですが、周囲には駐車スペースがほとんどありません。そのため、少し離れたところにある由良海釣り公園付近の駐車場を利用しなければならない場合もあります。ただし、半夜釣りをされる場合は事前に駐車可能な時間帯などを確認しておく必要があります。(由良海釣り公園・TEL0738-65-3263)
駐車をおえたら堤防へとむかいましょう。鎮魂碑前から続いている細い地道をたどって造船所へと歩いて行きます。造船所の手前まで来ると右側に細い通路がありますのでそこを通り抜けると堤防へたどり着きます。ただし、この通路は造船所内にあるため、足元には鉄板などの資材が多数散乱しています。
つまづかないようにまた、所内の迷惑とならないように通行してください。(足元が暗い夜間は特に注意)
この由良糸谷にある堤防は足場も広く、地元の釣り人にも人気の高いポイントとなっているようです。春先にはアオリイカをはじめ、チヌ・メバル・ガシラ・スズキなどが釣れます。7月の声を聞くと型のいいアジやカマス、また「マルソウダ」と呼ばれるカツオの一種も回遊してくるようになり、堤防も大賑わいの様相を見せるようになります。
この堤防では足元の水深が約3ヒロ。海底付近は底が荒く、かなりの捨て石や障害物などが入っているようです。(ちなみに僕はこのポイントでエギを3つも失ってしまいました。)
当日は午後3時に自宅を出発。普段の釣りにはない遅出出動です。
そして、国道42号線沿いにある「紀の国屋」で活きアジ様を10匹調達しました。驚いたことに1匹あたりの値段はなんと80円。昨年の今頃は150円前後で売られ、しかも品切れ店続出だったのが嘘のようです。店の軒先にはヤエンやアジ活かしバケツなどといったアオリイカ専用グッズもずらりと勢ぞろい。これを見ても分かるようにアオリイカ釣りの人気は凄まじいですね。
今回仕入れたアジのサイズは15センチ前後。去年と比べると少し小ぶり。だから値段も安かったのかな。アジ様が弱らないようにバッカンのエアポンプをフル回転させ、目的地へむけて車をブッ飛ばします。
ここで心配なのが由良町に入る前に敢然と立ちはだかる峠越え。アップダウンに加えてのジグザグ走行。相当な揺れが予測されます。アジ様を活きたまま搬送させる僕にとっては、まさに難所中の難所なのです。いつものとおり、活きアジの入れたバッカンはサイドシートの足元へ置き、水モレや転倒がないよう細心の注意を払います。
この日も超安定走行を心がけた上で、峠へとさしかかりました。右へ左へと急カーブが続く登り坂。たいした揺れもなく、ここまでは順調な運転といえましょう。そして、トンネルを抜け下り坂もスムーズに通過。何とか峠の難関も無事に突破できたと安心したその瞬間、前方のステップワゴンが突如として急ブレーキをかけました。あわてた僕も瞬時に急ブレーキ。「バシャーッ」ざわめく音とともにバッカンは前のめりにひっくりかえりました。最悪にもフタは半開き状態。大量の海水に混じってアジ様までが飛び出すといった始末。えらいことです。
「何すんねや、ステップワゴン」とぼやきながら、車を側道で停車させました。あわててバッカンの中を覗くとアジ様は腹を横に瀕死の状態。早く海水を補充してやらないことには、去年の悪夢と同様にアジの大量死は免れません。
あわててアジ様をバッカンに戻し、少ない海水のまま一目散に現場へとむかいました。釣り場付近には活きアジを売っているエサ屋がないため、最悪の場合でも補充はききません。「何とか生きのびてくれー」そう祈るばかりです。
10分ほどで釣り場へ到着。すぐにビニールバケツでもって海水を汲み、バッカンへと注ぎ込みます。続いて予備にもってきたエアポンプまで出動。ツインポンプにより大量の酸素を送り込みます。4、5匹が腹を横にして浮かんでいたので、もうだめかとあきらめていました。しかし、必至の介護が報われたのか10分後には全てのアジ様が元気に回復しました。ほっと安心したところで釣りを始めることにします。
今回は幸いにも堤防の先端部分が空いています。そこで釣り座を構えることにしました。早速ウキ釣り(泳がせ釣り)仕掛けを準備。今回はイカ釣り用の磯竿が修理中のため、仕方なく柔らかめの投げ竿を代用することにしました。心配なのがこの竿に取り付けてあるスピニングリール。ドラグ部分が壊れかけているため、微妙なドラグ調整は不可能。
リールをチェンジしたいのですが、リールシートの部分が固着していて外そうにも外れないといった状態です。仕方なくこのオンボロリールを使うはめになりました。しかし、このことが後になってとんでもない悲劇を招くことになろうとは・・・。
まずはウキ下3ヒロからスタート。活きのいいアジ様を選び、鼻面に針を掛けて20メートルほど沖へと放りこみました。時計を見ると午後5時。まだ、日が高いせいか周囲でもイカをゲットした様子はありません。隣に陣取っていたおっちゃんもやはりアオリイカ狙い。アジの尻尾に針を引っ掛けて泳がせている様子。どうやらヤエンによる釣り方の堤防の上にはいたるところに「墨跡」が点在しています。初めてアオリイカ釣りに行かれる方などはこの墨跡を目印に釣り座を決めるとよいでしょう。墨跡はここ数日の間にイカが釣れた証拠となるもの。いわゆる実績ポイントというわけです。墨跡さえ確認できたら、イカ釣りは大きな期待が持てます。果てして僕は今期初の獲物を手中に納めることができるのか・・・。
しばらくして、隣のおっちゃんの竿が弓なり。どうやら大型のアオリ君が乗っている様子。「よっしゃ、よっしゃ」と言いながら、おっちゃんは厳しい表情でもってじっくりと手前へ寄せてきます。いよいよ、掛け針であるヤエンの投入か・・・。おっちゃんがヤエンに手を差し延べたその瞬間、「ポン」と勢いよく竿先が跳ね上がりました。「あぁーっ、外れたぁー」おっちゃんは思わずそう叫んでしまいました。
残念です。人ごとですが笑ってはいけません。おっちゃんの手元には、頭のないアジだけが空しくも上がってきました。アジに乗せてから取り込みまでが本当に難しいアオリイカ釣り。この間のドキドキ感がもうたまりません。横で見ていた僕までもドキドキハラハラ。ウーン、ますますハマってしまいそうです。
午後6時50分、いよいよドラマの幕が切って落とされました。堤防の先端付近で竿を出していた僕は活きのいいアジに付け替え、沖へむけ投入。と同時にウキが一気に横走り。2、30メートル走った後、海中深く消し込まれていきました。30秒ほど待ってから軽く竿を聞きアワセるとズシンとした重み。「重いな」と感じたその瞬間、何と竿がギュギュンと一気に締め込まれました。これは相当な大物、あわててリールのドラグを緩めます。するとリールのスプールからは「ジジーッ」と強烈な勢いで糸が出て行きます。猛烈な突っ走り状態が続き道糸は出て行く一方。「誰か止めてくれー」まるで、ジェットスキーに引っ張られているようでした。
昨年アオリ君を釣った時にはビニール袋が引っ掛かっていたような手ごたえで簡単にタモに納めることができたのですが、今回の獲物は別格。どえらい突っ走りようです。
数分ほど走られたでしょうか、結局ふっと軽くなったと同時にウキが海面へと浮かんできました。残念ながらおいしい獲物を逃がしたようです。空しくも頭のかじられたアジのみが帰ってきました。夕闇迫る黄昏時、一瞬のドラマでした。
その後は獲物を逃がした影響からかアタリのない状態がしばらく続き日も沈んであたりも真っ暗になったので、ウキ下を2.5ヒロと少し浅くしてみました。それでも依然としてウキには変化なし。
「もう、そろそろ終了かな」と呟きながら、あきらめかけていた午後8時、ウキがじんわりと消し込んでいきました。じっくりと待ってから軽く聞きあわせてみます。
今度は少し重い感触。これは小さいと思った瞬間、またまたトラック野郎のごとく爆走劇が始まりました。「ジジーッ、ジーッ、ジジーッ」唸るドラグ。先ほどと全く同じ手ごたえです。スプールに巻いてある糸のほとんどが出て行きました。「おかあちゃん止めてぇー。」
今度こそ逃がさないようにと、必死で踏ん張りましたがここで予期せぬトラブルが発生。なんと、ドラグのネジが外れてしまいました。「うそあわてて、ネジを拾って付け直しましたが時すでに遅し。
軽い手ごたえで上がってきたのは頭部がブラブラになったアジの残骸でした。ちきしょー。
イカがこんなに走るとは思ってもみませんでした。恐るべしパワーです。おっさんに引っ張られているようでした。
敗因はドラグが潰れていたボロリール。と言いたいところですが、道具はともかく僕の腕が一番の敗因でしょう。
春のアオリイカシーズンはまだ始まったばかり。今回の一件でアオリ君が僕を熱くさせたことは言うまでもありません。
~関西波止釣り情報(和歌山県・由良港の現況)~
現在、由良港周辺では、活きアジをエサに500グラム~1キロクラスのア
オリイカが釣れています。数少ないアタリのチャンスを逃さないようにゲ
ットしたいものですが、大型になるほど取リ込みが難しいようです。
夕方に満潮を迎える日が好条件のようです。
なお、雨降りの翌日は不調なので釣行は控えた方がよいでしょう。