実釣レポート31(兵庫県・垂水一文字編)

波止釣り 実釣

<釣行当日のデータ>

釣行日:平成11年12月11日(土)

釣り場:兵庫県・垂水一文字

天候:晴れ

水温:15°C

潮:中潮

風向:北東

エサ:グレ狙い:ハバノリ、イシゴカイ

スズキ狙い:ルアー(7~9センチ程度のシンキングミノーまたはバ釣果:ガシラ15センチ1匹、5センチ2匹

カワハギ15センチ1匹

ポイント図:別添図をご使用ください。

仕掛け:別添図をご使用ください。

12月も中盤にさしかかり水温も低下。冬の魚もボチボチと顔を見せはじめました。そんな中、「冬本番。波止のグレ、絶好調」との、心引かれる新聞記事が・・・。

早速、グレ用の釣り道具を準備。目下、確実ともいえる「垂水一文字」へと釣行してまいりました。当日は、ウキ釣りの名手M井先輩を説得の上、垂水まで同行していただくことになりました。しかし、これが後になってえらい迷惑をおかけしてしまうことになるとは・・・。

当日は午前4時にM井先輩宅へと迎えにあがりました。先輩はいつも大型クーラーを持ってきてくれるので大漁の時には大助かり。さらにクーラーの他にも、長短の磯竿数本、タモに大型バッグとかなりの重装備が想定されます。そのため僕の車のトランクスペースは広めにあけておきました。

しばらくすると、西川きよし級の豪邸の門が開きました。

M井先輩、さっそうと登場です。しかし、片手には短いルアーロッド1本、背中には小型のリュックのみ。嘘のような軽装です。

車のドアを開けた先輩は、「おはようさん。今日はウキ釣りはせえへん。ルアーでビッグシーバスゲットや!大型枠の玉網は持ってきてくれはったん」とのあいさつ。

驚きました。ウキ釣り師がえらい変わりようです。早速、軽量道具を積み込み、一路垂水へと向け車を発進させました。

ちなみに、垂水一文字へは大阪方面からですと、阪神高速神戸線「若宮」出口を降ります。そして、国道2号線を西進し、「垂水漁港」と書かれた標識を左折すれば釣り場への渡船場(垂水漁港)及び市営駐車場へと出ます。

電車利用の場合は、JR垂水駅下車。目の前が垂水漁港です。

僕たちは午前5時過ぎに垂水漁港へ到着。漁港そばにある「まるは釣具・垂水店」にてグレ用のエサ「イシゴカイ」と「ハバノリ」を購入しました。特に冬場のグレはこの「ハバノリ」を好んで食するそうです。

ハバノリの第一印象としては「こんな磯じまん(食用の瓶詰め海苔)

みたいなもので釣れるの?」といった感じ。そして、何よりも針につけるのが大変。2、3回縫いざしにしてから針に巻きつけるようにします。

初心者の方にはハバノリの針づけが大変だと思いますので、イシゴカイまたはオキアミを使われた方がよいでしょう。

エサの購入を終え、まるは釣具のすぐ傍にある市営駐車場(1日600円)へ車を止め、渡船場へと向かいました。

一番船は午前6時のはずですが、当日は多くの釣り人が早くから待機していたので5時半に出船してくれました。渡船のおっちゃんに「ようさん釣ってきて。がんばりや」との声もいただき、いざ、一文字へ。

といっても、すぐ目の前にあるため、ほんの2、3分ほどで波止の中央付近へと到着しました。

船付き場近くに釣り座を構え、まずはルアーでスズキを狙います。

2.7メートル(9フィート)のルアー竿(ライトアクション)に中型スピニングリール、7センチのシンキングミノー(イワシカラー)というタックルです。最近では、ソルトウォーターブームのせいか、どこの波止ともルアーマンでいっぱい。この一文字でもあちらこちらで「ビューッ」と竿を振り切る音が聞こえてきます。僕も暗い闇の中、港内へ向かってフルキャスト。しかし、軽いルアーと向かい風のせいか飛距離は出ません。

また、ありがたいことに今の時間帯は潮の流れが速くありません。着水地点から足元までまっすぐにルアーを引っ張ってくることができます。

「ちっちゃいセイゴでもいいから掛かって」と、ルアーでほとんど実績のない僕は心でそう念じ、リールを巻く手にも力が入ります。

しばらくして周囲が明るくなると、恐れていたことが起こりはじめました。そう、突然海が怒り出したかのように潮の流れがどんどん速くなっていきます。ルアーも反応がないどころか着水と同時に流されてしまうため、はっきり言ってお手上げ状態。

あっという間に午前7時。「そろそろ本命のグレ釣りに切り替えるとするか・・・」

ということで、雑誌に紹介されていたとおり磯竿1.5号、小型スピニングリールに道糸3号、1号のクッションオモリに棒ウキ、そして2本針の仕掛けでグレに挑みます。

いよいよグレ釣りの開始。隣ではおっちゃんがはやくも30センチ弱の良型グレを手にしているようです。

しかし、早くもこの時点であっと驚く出来事が・・・。

仕掛けを振り込んでも棒ウキが立たないうちに、右から左へと一直線に流されてしまいます。そして、ウキが立ったと思いきや、なんと水中へ。あまりの潮の速さに仕掛けが揉まれ、その勢いでウキが消し込まれているようです。

まさに「鳴門の渦潮」。さらに言わせてもらうなら、雨上がりの川状態です。過去にレポートした須磨、平磯海釣り公園における潮の速さはご承知のとおり。しかし、ここ垂水一文字はそれらをはるかにしのぐ速さです。同行した先輩からは、「こんなん地獄絵巻やんけ。俺は大和川へ釣りに来たんとちがうで。ルアーのタックルしか持ってきてないのにどないしたらええんじゃ」とのお叱りを受けるほどでした。それもそのはず、先輩はソルトウォーターフィッシングでスズキを狙っているのですが、ルアーをキャストしても流木のごとくあっという間に流されてしまいます。また、ルアーが沈みかけた頃には、波止際へと到達してしまっているので釣りどころではありません。

このような状況下、僕はとんでもなく恐ろしいことを想像してしまいました。「この激流の海に落ちたら、いったいどこまで流されるんやろか」考えただけでも震え上がります。どんなに泳ぎの上手な方でも、この状況では浮いていることすら難しいことでしょう。

いやいや、そんなことを考えている場合ではありません。潮流の対策を考えないことには本日も釣果ゼロとなってしまいます。

「どこか潮がゆるいポイントはないものか」と悩んでいたところ、船着き場にポイント紹介の案内板があることに気づきました。潮の流れがゆるいポイント(潮だるみ)に印がつけられていたので、そこで竿を出そうとしましたが時すでに遅し。流れがゆるいポイント内外ともほぼ満員状態。また、外向きでは大型のテトラポットが乱積されており、足場がよくありません。しかし、わずかなスペースに潮だるみを発見したので足元に厳重注意の上、やむなくテトラポットから竿を出すことにしました。

テトラ際へと仕掛けを振り込みましたが潮だるみとはいえ、かなりの流れ。棒ウキも流れにもまれてかなりフラついているようです。そのため、潮によく乗る「円錐ウキ」へと付け替えることにしました。

しばらくすると、待望のアタリ。軽く手首を返すとゴツゴツとした魚信が伝わってきます。上がってきたのは小型のガシラ。前回に続きガシラさんとは縁があります。針を外そうとして口元に手を近づけた瞬間、奴は暴れ出し鋭い背びれが僕の指へ刺さりました。「痛っ!」との声を発すると同時にガシラは針から外れ、テトラの隙間へと消えていきました。

水面ではグレの魚影がたくさん見えています。しかし、コトワザどおり見えてる魚は掛かってもくれず、釣れてくるのはハゲやガシラのみ。

隣ではルアーをあきらめた先輩が探り釣りでガシラをダブルヒット。しかし、相当な岩礁帯であるのか頻繁に根ガカリしている様子でした。

周囲ではチラホラとグレが上がっている様子。よく見ると釣っている人の大半がB~3B程度の円錐ウキ及び水中ウキを使って釣果を上げているようです。

はっきり言わせてもらいますが、今回僕が準備したグレ釣り仕掛けについては「釣り雑誌にだまされた」といった感じです。

そのため、掲載している仕掛け図については、釣れていた人の正真正銘の仕掛けです。

潮の流れがゆるい日は1号オモリ負荷の棒ウキでも通用するかも知れませんが、潮によく乗る円錐ウキ&水中ウキ仕掛けとした方がより確実と言えるでしょう。

午前11時、風も強くなってきたので帰り支度。沖合いを見ると相当なうねりが出始めていました。本日は「激流に完敗」です。

釣果には恵まれませんでしたが、激流ポイントでの攻略法をある程度勉強できたので僕自身としては満足な1日でありました。しかし、その一方でルアー釣りがお手上げとなり、迷惑をかけてしまったM井さんには頭が上がらないといった心境です。

しかし、心の広いM井さんはそんなことにもめげず「今年はこのままでは終われへん。年内にもう一回いくでーっ!」との言葉をいただき、ホッとしています。(2人とも実績の高いメバル狙いがベストかな)次回は必ず大漁の魚と笑顔バッチリの写真を掲載できるようがんばります。

(僕の好きな言葉”やるときはやる”)

ちなみに写真のグレは僕らの隣で釣っていたおっちゃんが上げたものです。

うらやましー。

~関西波止釣り情報(兵庫県・垂水一文字の現況)~

現在、垂水一文字周辺では、グレ・スズキ・メバル・ガシラ・などが釣れています。

グレは一文字の外、内向きともに好調。20センチ前後がボツボツと釣れています。エサはハバノリまたはイシゴカイを使用します。

メバル・ガシラはテトラ際(足場には要注意)が狙い目。シラサエビを使い、探り釣りやウキ釣りで手のひらクラスが釣れ出してきました。

また、投げ釣りで狙うカレイもシーズンインしたようですが、数はあまり釣れていません。ちなみにオモリは30号以上のスパイクオモリを使用すること。それでも流される場合があります。何度も言いますが、この一文字はとにかく激流。小潮または長潮の日に釣行することをお勧めします。

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