実釣レポート20(和歌山県・由良港編)

波止釣り 実釣

<釣行当日のデータ>

釣行日:平成11年7月10日(土)

釣り場:和歌山県・由良港

天候:晴れ

水温:25°C

潮:中潮

風向:東

エサ:カマス狙い…キビナゴ

アジ狙い…アミエビ・サシアミ

釣果:カマス20センチ1匹・アジ10-15センチ6匹

ポイント図:別添図をご使用ください。

仕掛け:アジ狙い(サビキ釣り)…別添図をご使用ください。

アジ・カマス狙い(ウキ釣り)…別添図をご使用ください。

梅雨明け間近の7月初旬、久々に週末の天気が恵まれました。

「やっと、釣りに行ける」

皆さんもそう実感されていることと思います。

今回は、釣り場の選択に悩みました。なぜなら、新聞や情報誌を見ると、どこの釣り場も結構いろんな魚が釣れ出しており、好調だからです。

2つに絞った結果、タコが絶好調の「武庫川一文字」そして、小アジが釣れ出したとの情報が入った「由良港」のどちらかにすることにしました。

結局、釣り人の少ない方と予想された「由良港」を選ぶことにしました。

ここは2回目の釣行となりますが、地元の釣り人が来ているくらいで週末でも比較的空いている釣り場です。そういう意味では、穴場的存在と言えるでしょう。(ただし、高速代が少々高くつきますが…)

また、今回は前回の釣り場より少し右手に寄ったところにある「阿戸漁港」という波止から竿を出すことにしました。

前回は、アオリイカを狙った釣行でしたが、今回は小アジ釣りに徹することにしました。

そして、例年の今頃は、和歌山~大阪湾南部にかけて「カマス」が回遊してくるシーズンなので「ぼちぼち釣れ出す頃かなぁ」と思いながら、家の冷凍庫に眠っているカマス用のエサ「キビナゴ」を持っていこうとしましたが、「サビキで小アジを釣ってたら忙しくて、カマスなんか釣ってる暇ないな」と考え、結局キビナゴは置いていくことにしました。そのことが後になって、ま・ま・まさかこういう結果になるとは気を取り直して話を進めましょう。この釣り場へのアクセスは前回の由良港レポートをご参照下さい。

途中、湯浅付近の釣りエサ店でサビキ用のアミエビを購入し、釣り場へと向かいました。

午後4時頃、現場へ到着すると、釣り場には地元らしきおっちゃん3、4人がアジを狙って竿を出していました。

僕も早速サビキ釣り仕掛けを用意し、アジを狙うことにしました。

アミカゴにアミエビを詰め、足元にドボンと仕掛けを放り込みました。

アミカゴが海底につくと同時に2、3回竿をしゃくりあげ、アミエビを散らせました。

しばらくは反応がなかったのですが、撒き餌が効いてきたのか時間が経つとともに10センチ足らずの豆アジがポツポツと上がり出しました。隣のおっちゃんも10センチほどの小アジをコンスタントに釣り上げています。よく見ると、サビキ釣りではなく、ノベ竿を使った1本針のウキ釣りで仕留めているみたいです。

それならばと、僕も極軟調竿を取り出し、ウキ釣りの準備にとりかかりました。

アジはメバル同様、非常に目のいい魚なので、ハリスは細めにして長さを1ヒロとり、仕掛けをフカセ(自然に近い状態でエサを漂わせる)気味にしました。

そして、タイミングよく持参していたオキアミのSサイズ(サシアミ)を針に刺し、仕掛けを振り込みました。

途端に、ウキが「ツッー」と消し込まれ、いきなり掛かったようです。キラキラ光る魚体が水中で右へ左へと走りまわります。

釣り上げた魚は、10センチほどのアジでした。

手返しよく第2投。エサはフワフワと海中に漂いながらゆっくりと沈んでいきます。堤防からは、海中で光っているアジの群れがエサを追っている様子がよくわかります。また、ウキが水中へ疾走。入れ食い状態で皆さんもサビキ仕掛けで釣れない時は、細いハリスを長めとったウキ(フカセ)釣りを是非、試してみて下さい。1回の取り込みで5、6匹釣れるサビキ釣りよりも効率が悪そうに思えますが、1匹、1匹、コツコツと釣り上げていけば、ウキ釣りでも数多くの釣果が見込めます。

そして、周囲でサビキ釣りをしている人たちの竿に魚が掛かり始めたら準備しておいたサビキ釣りの竿に切りかえるというのもひとつの手段です。

そうこうしているうちに日が傾き、地元らしきおばちゃん2人がノベ竿を肩にかついで、さっそうとやってきました。

おばちゃん2人連れは、見るからにビューティーペアー(ジャッキー佐藤とマキ上田)に似ていたので、ここではあえてそう呼ばせてもらいます。

(今回はこの2人が、本ストーリーの主役となります。)

まず、ジャッキー佐藤が「兄ちゃん。釣れるかぁ」と声をかけてきたので「ウキ釣りで小アジがようさん釣れてる」と返事をしました。すると隣のマキ上田は「夕方からカマスがよう釣れるんょ~」ということを教えてくれました。

僕らの隣の釣り座に入れてあげると、ビューティーペアーおばちゃんたちは年期の入ったノベ竿を伸ばしはじめました。「昨日はカマスが20匹も釣れたんやで」とマキ上田が言えば、負けずにジャッキー佐藤は「うちは25匹や」と、2人の会話もコンビネーション抜群です。

周囲が薄暗くなると、途端にアジは釣れなくなり、僕の竿への魚信はビタリと途絶えました。そして、ビューティーペアーの独壇場と化したのです。

まず、ジャッキー佐藤が20センチほどのカマスをゴボウ抜きしました。

「兄ちゃん。カマスが廻ってきたみたいやでぇ」と、マキ上田が吠えています。

続けてマキ上田がカマスを掛けたようです。細長いシルエットが海面を切り裂くように突っ走っています。これも20センチを超える良型のカマスです。

「きた、きた」と、ジャッキーが唸る。「うちもや」と、マキが叫「ビシッ」、ジャッキーが掛ける。「グィーン」、マキの竿がしなる。

また、ジャッキーは腕っ節をみても分かるように、見るからに怪力おばはん、いや、おばさんです。カマスを掛けた瞬間、その引きを楽しむことなく一気に「ズボッ」と抜き上げてしまいます。釣り上げられたカマスも「まいった」と言わんばかりの顔をしています。

キビナゴを持ってきていない僕はというと、棒立ちでビューティーペアーの連続ヒットをただ、漠然と見つめているといった状況です。

「兄ちゃん、キビナゴ持ってないんか」ジャッキーがやさしく声をかけてくれました。「エサをくれるんか。やさしいおばちゃんや」と期待していると、「1パック250円で分けたる」と言われました。ジャッキーは商売人です。

でも、背に腹は変えられないので250円でキビナゴを売ってもらうことにしました。

「キビナゴは輪切りにして、針に刺しや。ウキ下は1ヒロ半やで」とマキからのアドバイス。

言われたとおりにして、足元へ放り込むとウキが斜めにシュッと走りました。瞬間的にアワセると掛かりました。その引きたるや、すさまじいものです。

まさに海の弾丸ライナー「カマス」。スピード感あふれる走りようで「遊んでたら、ハリス切られるでぇ」と、再度、マキからのアドバイ分かりましたとばかり、一気に抜き上げました。20センチほどのカマスでした。マキが言ったように、カマスにはギザギザの鋭い歯が並んでいました。

「えらい歯しとるやろ。でも、ハリスは1.5号までにしとかんと食いが悪くなるで」と、今度はジャッキーが教えてくれました。

「なるほど。こんな鋭い歯をした魚を掛けて引きを楽しんでいたら、ハリスが切れるはずや」と実感しました。

さすが、ジャッキー。カマスのことはよく知っています。

しかし、僕はこの1匹を最後にカマスからは見放されてしまいました。

ジャッキーやマキにもアタリがないようです。

カマスはアジ・サバ・イワシ同様の回遊魚です。群れが廻ってこないことには話になりません。時計を見ると午後7時30分。

「今日はもうあかんな」と、ジャッキーが言うとマキもノベ竿をたたみ始めました。クーラーを覗かせてもらうと、2人あわせて20匹を超えるカマスがずらりと並んでいました。

「写真を撮らせてもらえますか」と2人に声を掛けたのですが、シャッターがおりません。液晶画面を見るとバッテリー切れマークが点滅しています。全く、ついていません。

「また、今度来た時に写してもらうわ」との言葉を最後に、ビューティーペアーは竿とカマスのぎっしり詰まったクーラーを引っさげ、帰っていきました。

ビューティーペアーの最高の笑顔をお見せすることができず、とても残念です。

でも、僕にカマス釣りの極意を教えてくれたジャッキー佐藤とマキ上田さん、本当にありがとう。

筋書きのないドラマであり、その上いろんな魚に出会え、いろんな人にも出会える。「釣り」ってほんまにすばらしいなぁと実感した1日でありました。

~関西波止釣り情報(和歌山県・由良港の現況)~

現在、由良港周辺では、サビキ釣りでアジ・サバ、ウキ釣りでカマス、投げ釣りではシロギスが釣れています。

アジやサバは10-15センチクラスが数多く釣れます。食いの悪い日中はサシアミを餌にウキ釣りで狙った方がよさそうです。

カマスは輪切りにしたキビナゴを使って20-25センチ、時折30センチクラスも混じります。朝、夕の一瞬の時合いを逃さないようにして下さい。

シロギスは石ゴカイを餌に20センチ前後のものが狙えます。

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